一途に IYOU〜背伸びのキス〜
愛のチカラ


「電話越しにキスができたらいいのに」


朝7時。
ケータイを耳に当てながら言うと、椋ちゃんが黙る。

多分、ベッドで上半身を起こして苦笑いしてるんだろうな。


『社長が止めるなら仕方ないだろ。
……でも、最近咲良が部屋にくる回数が減ったから変な感じだけど』
「素直に寂しいって言ってもいいのに」
『27の男は、そうそうそんな言葉言わないモンだろ』
「やっぱり、週に4回ってやりすぎだよね。料理教室。
やっとちゃんとした料理っぽいの作るようになったから、それだけマシだけど」
『先生とはうまくやってるか?』
「……多分、やれてない。
けど、大丈夫。向こうがかなり失礼な事言ってくるから、それに返してるだけだし。
まぁ……悔しいけど料理は上手いし」
『……ふぅん』


電話の向こう側で、カチャカチャって音が聞こえる。

コーヒーでも入れようとしてるのかな。





< 247 / 342 >

この作品をシェア

pagetop