一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「咲良の髪って柔らかいから、すぐストレートに戻っちゃうかもしれないけどね」
「これで少しは大人っぽく見えるかなぁ」
「雰囲気は変わったけど……、どうだろ。
これから葉山さんに会いに行くの?」


ヘアアイロンをカバンに入れながら聞かれて、首を振る。

下校時間を30分過ぎた教室には、あたしとみっちゃんだけだった。


「行かない。
制服で行くと目立つし。椋ちゃんにも迷惑かけちゃうから」
「咲良って、ぐいぐい行くくせに、そういうとこちゃんと考えててえらいよね。
だから友達やってられるのかも。
じゃなきゃ救いようがないけど」
「……なんかひどい言われようなんだけど」
「え、褒めてるのに。
あたしもう帰るけど、咲良は?」
「褒め……? まぁ、いいや。あたしも帰る。途中まで一緒に帰ろ」







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