硝子の破片

正樹Side

正樹は携帯電話をベッドに叩きつけた。


はらわたが煮え繰り返るような怒りに、ぎりぎりと奥歯を噛み締める。


『おまえには関係ないだろ』そう言って、あの男は電話を切った。


終始、人を馬鹿にしたような口調だった。


何故、あいつなんだ。


その疑問は鋭利な凶器となって、正樹の思考を掻き乱す。


想像するだけで吐き気がした。


あれがレイプではなく、合意のセックスだったとは今でも信じられない。


あの男に組み敷かれた菜々子は泣いていたではないか。
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