あなたの手を


「…あの…?」


なんの応答もない男の子に
もう一度声を掛ける。




「…あっ、いや、大丈夫でしたか?」




低い優しい声が
あたしの…耳だけじゃない、
心臓に、トクトク響く。






「次は~田川橋~田川橋~」




もうすぐ駅に着く。
降りなきゃ…



もっと…
もっと、この人を見ていたい。




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