悪魔が笑うから



驚いた。

言葉じゃなくて。

ユナの、表情に。


それは俺だけに向けられたものじゃなくて、この場にいない大音にも対する憎悪の顔。


綺麗な顔を歪ませることをやめない。


眉間のしわが深くなる。


「瑛は、瑛は・・・。あたしに逆らえないでしょ?あの日約束したよね?」

「あ、ああ・・・」

「これは一生のお願い。楓に近づかないで。話さないで。見ないで。・・・お願い」



嫌だ、と言いたい。

だって、大音は、大音だけは・・・



・・・え?



何故、俺は、大音にこだわってるんだ?





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