彼女とライブと。【完】

ギターの音



…このギターの曲、なんだっけ…


思い出せそうで
思い出せない。

でもなんだか好きな曲だった。


というか、好きな弾き方だった。

チャッと音が跳ねて
また手につく。

和音も綺麗だった。


誰が弾いてるんだ?

そう思い、音のなる方へ
近づいてみると



…階段?

どうやら階段の上にいるらしい。


タン、タン、タン

階段を登って行く。
どうやら裏口に続く階段だったようだ。

控え室とは反対方向の場所だから
兄とは大分離れたな。

そう思いながらも足を進めていく。

弾いてる人は集中しているのか、
俺が近づいていっても
弾くのを止めなかった。



やがて音がだいぶ
近くにきたので、
顔をふとあげる。


…え、女?

階段の上の方に座っていて
その曲を弾いてるのは
なんと女の人だった。

長い髪を一つに結んでいて
キャミソールに
パーカーを羽織っている。
下はジーンズにブーツ。


階段の下の方で
びっくりした気持ちと
それでも曲に
聞き惚れている
気持ちが交差して

また俺はそこで固まっていた。
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