あの日の僕は。
……もうすぐ海里の出番が近付いてくる。
海里はあまり緊張とかしていない。そこが海里らしい。
「んじゃ1階に降りるとしますかっ」
海里が階段に向かい歩き出す。
……すると、
「海里……」
海里のお母さんがいた。
「……来てくれたんだ?」
海里は笑っているような笑っていないような複雑な表情をしていた。
「…………海里。頑張って」
穏やかな声と共に海里のお母さんが、笑った。
海里は一瞬目を見開いて、
「……ちゃんと見ててくれよ、母さん!」
満面の笑みを見せた。