不器用な愛を。【短】
大好きな聖斗と同じくらい大切な海。
でもそれが異性への愛情じゃないことはハッキリと分かる。
それでも、すぐに突き放せなかったのは確実に私の自分勝手な弱さだった。
海が自分から離れることが
これまでの関係がなくなることが
とてつもなく怖かったんだ。
「…………」
人通りが少なくなったその道には明かりの点いた住宅が並ぶ。
その奥に私の家が見えて。
同時に、その横に見える海の家。
「………ハァ―…」
ごめんね、海
逃げ出してごめん
もう大丈夫だから。
私、海のことちゃんと放すから。
本当に、弱虫でごめん。
私、きっといつまでたってもこんなんだけど
海の"お姉ちゃん"でいたいんだ。