14日の憂鬱
「待ってろ」の一言を残し、殴りに行ってしまった事は、良いことか悪いことかと言えば……決して良いことではないかもしれない。 




でも、私にとっては凄く嬉しいことだった。




まさか永井が、私のことであんなに怒ってくれるなんて。




思い過ごしかもしれないけど…、私のため、だと思ってもイイ?






『…元々、あの先輩とは合わなくてイライラしてたからだよ』



確かにあの時永井の言っていたことは、日ごろの溜まっている不満をぶつけているような言葉だった。


サッカー部のことはそんなに詳しくは知らないけど、おそらく永井は先輩の横暴な態度や行動に、思い切って発言したんだと思う。



他の先輩方も止められない、あの先輩の横暴さを永井が勇気を持って止めたんだよね。




『でも…。そのせいで永井…辞めちゃったんでしょ?』





辞めてしまうきっかけをつくってしまったんじゃないだろうかと、やっぱりちょっと不安になった。






『いいんだよ。ココだけがサッカーできる場所なわけじゃねぇし。……それに、お前の為に殴ったんじゃねぇから』






永井はずっと前を向いたまま話していたが、耳まで赤いことにすぐに気づいた。





『照れてんの~ぉ?!』



『うるせーっ』






何故だか、私の言葉に照れる永井が、とても可愛く思えた。
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