14日の憂鬱
好き

打ち消せない想い

ベージュのバーバリーを首に巻いていると、陽気な鼻歌を歌いながらサトケンが私のクラスにやってきた。


「サトケンどうしたの? 随分浮かれてるね」


「っていうかさ、しょっちゅうウチのクラスにいるよね、あんた」



加奈子が苦い顔で言った。



「いや~ぁ俺にも春が来たっていうかぁ」



「春ー?何それ」



加奈子がこいつ頭おかしくなったんじゃないの?と私に聞いてきた。


正直、今はサトケンの明るさは相手にしてられない。



野球部恒例の義理チョコ配りが終わったらさっさと帰りたい。



一日中ずっと、一ヶ月前の放課後に起きたことばっかり。


壊れた映写機のように、克明に思い出されて。




時間が経つにつれて永井のことが気になって仕方なくて、気疲れしていた私は、サトケンの言葉を適当に聞き流した。





「これっ!…貰っちゃったぁ」



ところがサトケンは、私と加奈子のテンションの低さには全く気づかず、後ろ手に隠してあったその貰ったものを見せびらかす。




「…え。もしかして」



「そっ!俺っち告白されちゃった~」





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