俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
それからはしばらく無言で歩いた。


沈黙を破ったのは加奈子ちゃん


校門を出た辺りで加奈子ちゃんは俺を見た。


「なんで小森君を殴ったりしたの…?」


「………」


「それにヒロキくん…夏休みで部活もしてないのに、なんで学校にいるの?」


「…………」


加奈子ちゃんの言葉に


俺はどう答えるのが良いか迷っていた。


どう説明すれば一番加奈子ちゃんが傷付かないか。


本音では


小森の悪行をすべて言ってしまいたかった。


こんなに最低な奴なんだと

殴ったのは加奈子ちゃんの為なんだと。


だけど――…


小森とは別れたとはいえ未だに友達な加奈子ちゃんに


騙されていた事や体目的だった事をそのまま言えば…


加奈子ちゃんはどのくらい傷付くだろう。


そういう苦しさが半端ないのはユキナの件で俺が一番よく知ってる。


あんな思いは…


加奈子ちゃんに味わって欲しくなかった。



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