俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~

加奈子の存在

俺と加奈子の交際は、その後も順調に進んでいった。


清く正しく…とは言い難いけど


想いの一途さだけは胸を張れる。








―ピリリリリ


「…………ん」


散らかった部屋に鳴り響く、朝を知らせる携帯のアラーム。


俺は枕に顔を埋めたまま腕だけ携帯に伸ばしてパカッと開く。


――ピッ


慣れた手つきでアラームを止めるとそのまま携帯を手放した。


………眠い


再び訪れた心地よい静けさに意識がまた飛びかける。








♪~♪~


次は携帯のメロディーが鳴った。


メロディーで、内容を確認する前から相手がわかる。


愛しの加奈子からのメールだ。


「んん~…」


俺は眠い目を擦りながら携帯を枕元に手繰り寄せメールに目を通す。


いつもと同じ、おはようの一言


低血圧で寒い時期は特に朝が苦手な俺だけど


加奈子からのメールのおかげで俺の遅刻回数はぐんと減った。


「ん――――…」


俺はベッドの中で大きく伸びてからむくりと起き上がった。


ぼさぼさの頭をかきながら窓をあけると


ひんやりと透き通った空気が部屋に入ってきて頭が少し冴える。


いつの間にか季節は移ろぎ、カレンダーを見るともう11月になっていた。


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