俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~

将来を前に

その日の放課後


部活が休みの加奈子と俺は久しぶりに一緒に帰っていた。


いつもはバレー部で熱心に頑張っている加奈子。


だから、こんな風に帰れるのは1週間に1回あるかないか。


そんな訳で

今日の放課後は、俺にとっては貴重な時間だ。


俺は嬉しさを全面にアピールしてみる。


そうじゃなくても今日の俺のテンションは、春馬と愛子ちゃんのおかげでいつもより高かった。


そんな浮かれた俺に対して


「桂先生は確かにちょっと嫌みだけどさ、ヒロキほんとに進路どうするの?」


いつもHRはサボってばかりで進路表もまだ提出していない俺を


加奈子は心配しているようだった。


「ん―?まぁ考えてるよそれなりに」


そんな風に答えながら、ほんとはあんまり考えてない。


だけどそんなダルい話しに、
俺たちの貴重な時間を使いたくはなかった。


俺は加奈子ににっこり微笑みながら話題を変える。


「てか、あの犬かわいくねぇ?」


俺は道沿いにあるペットショップのゲージを指差す。


透明なゲージの向こうには


ミルクティー色のポメラニアンの赤ちゃんがいた。


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