ドッペルゲンガー
第三章 恐れていたこと
声の主は生徒指導の稲岡先生だった。
この男、神出鬼没である。


「そういえば、稲岡先生もよく保険室に来るんだよなぁ。もしかして‥」


トミーが言い終わらないうちに、稲岡先生の手でトミーの口がふさがれた。


「三上先生、なんでもないですよ!清水、お前ってやつはいたらんことを。」


「稲岡先生、図星ですよ。」


三上先生の鋭いツッコミに、稲岡先生は笑ってごまかすことしかできなかった。


「さてと二人とも教室に戻りなさい。高岡先生は今頃、カンカンになってますよ。」


「すっかり忘れてました!また放課後来ます。行くぞトミー!」


「稲岡先生もですよ。」


海斗はトミーと稲岡先生を連れて保険室を出た。
稲岡先生は今日は用事があるらしく、また明日とのことだった。
二人で教室へ帰ると、予想通り高岡先生はカンカンだった。


「西村君!なにがメザ、目星がついてるよ!何時間かかってるの!」


そのあとたっぷり説教されたあと、警察署にいた犯人が逃走したとの話を告げられた。
もし警察に見付かれば間違いなく捕まるだろう。
高岡先生のアドバイスは雲隠れしなさいとのことだった。
もちろん海斗がまた間違った解釈をして、高岡先生につっこまれたことは言うまでもない。


「保護者の方はあなたが犯人だと思っているはずだわ。だから、あなたは誤解が解けるまで家には帰らないこと。わかったわね。
隠れる場所についてなんだけど、さっき三上先生から連絡があったから、まずは保険室に行きなさい。」


海斗はうなずくとバックをとり、保険室へと向かった。

しかし、大変なことになってきたなぁ。いつもならトラブル大歓迎なんだが、今回は命にも関わるかもしれない危険なトラブルだ。

精神面ではこれまでに味わったことのない緊張感が海斗を苦しめていた。
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