ドッペルゲンガー
第四章 空白の一ヶ月
「ほら、二人とも起きて!もう朝よ!」


海斗は眠い目を擦りながらベッドから起き上がった。


「こんな朝っぱらから何ですか?」


「今日は学校休みじゃないのよ!もうあと10分もすれば授業なんだから。
あっ、さっき西村君のクラスの人が来て、これを渡してって頼まれたんだけど。」


三上先生は茶封筒を海斗に渡した。
海斗は封を切り、中身を抜き出してみた。


「ん?写真みたいですけど‥。」


そこに写っていたのは一人の中年男性だった。
すると、いきなり持っていた写真をかすめとられた。


「!?」


トミーだった。するとトミーは何を思ったのか写真を破り始めた。


「おい、何してるんだ!ふざけんな!」


海斗はトミーに飛びかかっていったが、もうすでに写真はバラバラに破れていた。


「海斗、久しぶりだな。とは言っても、覚えてないだろうがな。」


トミーの放った言葉に、怒るのも忘れその場に固まってしまった。


「清水君?ではなさそうね。あなた誰なの?」


三上先生が尋ねると、トミーはしばらく間をおいた後、静かに話し始めた。


「ついさっき、破り捨てた写真。そこに写っているのが私だ。
その写真には強い念が込められている。
しかし破られるとただの紙切れだ。
だから私はとっさにこの少年の体に入り込んだ。」


海斗はというと、今ようやく事態を飲み込んだ。


「つまりお前が噂のドッペルゲンガーってわけか?」


三上先生がそれは違うだろという表情でオレを見た。


「ドッペルゲンガー?何の話だ?
とにかく無駄な前置きは抜きにして、結論から言うぞ。
私はお前の父親だ。」
< 15 / 38 >

この作品をシェア

pagetop