恋と魔術のはじめ方
『ねぇ、ファリナ。…あの人が言う"魔術士ライラック"がもし別人だったらどうする?ファリナもそっちの魔術士ライラックがいいんなら、あの約束も、もう…』

そこで、ファリナは話を遮った。

『いいの、そんなこと…。たとえ、あの人にとってはニセモノでも…、私にとってはあなたは"魔術士ライラック"なんだから。…だから信じてるから、それでいいの…』

まるで自分にも言うように、腰を落としたファリナは少し強引な口振りで答えた。ライラックを見る眼差しもそれを感じさせるほどだ。

答えになってないのかもしれないが、ファリナは本心でそう思ったのだ。

その言葉を聞いた魔術士ライラックは、初めてファリナに優しく微笑んだ。

『まぁ…信じてくれる弟子になら、見せてもいいかな…』

独り言を呟くように言った後、ライラックはおもむろにファリナの背後へと軽やかに移動した。

…。

まだ身体を思うように動かせないファリナが、なんとか後ろを見ようとするが、

『じっとして…少しだけ魔力を借りるだけだから…』

そうライラックの言葉が聞こえた途端、ファリナは首筋にある感触を感じた。
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