俺様婚約者~お見合いからの始まり~
その時、入口の襖がスッと開いた。

「あら、常務!!…今、お二人でにこやかにお話された様で、澤乃井さんも前向きに、と仰ってます。

百合子さんも澤乃井さんの魅力にもう、先ほどからうっとりなさってますわ」

突然私の母が部屋に入って来るなり弥生さんは間違った彼女の考えを並べ立てた。

そんな弥生さんに突っ込むのも忘れて思わず大きな声を上げる。

「お母さん!これって、どういう事なの?
お見合いだなんて、私聞いてないよ」

母はにこやかな顔で私を見ながら強い口調で言った。

「…百合子、あなたも、もう子供じゃないのよ。あまり我儘を言わないでちょうだい。

澤乃井さん、どうも、初めまして、鹿島でございます。
娘が我儘ばかりで困っておりますのよ。どうか澤乃井さんのお力でうまくご指導頂きたいですわ」

「ええ。お美しい上にとてもご活発で、ますます私の好きなタイプの女性ですよ、百合子さんは。

どうぞ、お任せ下さい」

あら、まあ、なんて言った後で、おほほほーって、お母さん!

ちょっと勝手に話をまとめないでよ…!


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