俺様婚約者~お見合いからの始まり~
私が慌てて乗り込むとその直後にドアがスッと閉まる。

隣に立つ悠斗をチラリと見上げると無表情でガラス張りのエレベーターから夜景を見下ろしている。

その様子からは気持ちは読み取れない。

…一体、突然、何なのよ。

何で会う度にイライラ、ドキドキ、させられるんだろう。

それに何故だか悠斗の前では素直になれずに、思っている事と反対の、あまのじゃくな態度を取ってしまう。

「………」

ぼんやりと彼の顔を眺めていると彼がゆっくりとこちらを向いた。

視線がぶつかり胸の鼓動が激しくなる。

「…何…?」

悠斗に聞かれても何も言えない…。

ただ、彼の眼差しに先ほどはなかった色気を感じた。

私が黙って彼を見つめたままでいると、エレベーターはロイヤルスイートのある二十四階に到着した。



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