俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「そんなの、俺には関係ない」

「あ、うん…、そうだな」

俺が少し強めに言うと、父はあっさりと引き下がった。

やっぱり昔の事を負い目に思っているんだな、と改めて気付かされる。

中学生になったばかりの頃、大好きだった祖父が突然亡くなった。

俺に音楽の才能がある、と誰よりも早く気付き、会社の事よりも音楽家として生きる希望を作り、バイオリンを与えてくれた、一番の理解者だった。

俺を会社の後継者にしたかった父は、祖父が亡くなったと同時に俺から音楽を取り上げた。

バイオリンは手元に置いてはくれたが、俺はそれ以来あまり弾く事はなくなった。

将来のないそんなものを弾くよりは女遊びでもした方が、気が紛れて楽だったからだ。


< 168 / 314 >

この作品をシェア

pagetop