勘違いしないでよっ
「あ、コーチ。これ!」
さっき買ってきた刺し入れを
コーチに渡す。
「お、先輩らしー事してんじゃん」
コーチはいつもあたしに
意地悪な感じでものを言う。
「そりゃ、まぁ…」
“先輩”と呼ばれた事に
なんだかむずむずした。
そしてアリーナに入って
シューズの紐をきつく結ぶ。
ストレッチは、
テキトーでいいや、と
簡単に済ませようとした時。
コーチが上から声をかけた。
「お前、身体硬くなったな。」
え…?
足を大きく広げて前に
身体を倒す体操。
現役の頃は
身体が地面にぴったり付くくらい
柔らかかった身体は
その半分にも満たない程に
硬くなっていた。
「おかしいな…いてて」
無理に押そうとしても
痛くてそれ以上倒れなかった。