REAL HOPE Ⅳ
「こえーな、おい」
ミサキがおちゃらけたようにケラケラ笑うと、私の横を通り過ぎて台所へと向かって行った。
普段八つ当たりをしない冷静なレツが…今日はやっぱり違う。
どうしたの?だなんて声はかけられない。
さっきのお父様の言葉に、レツも何かを感じている。
私だって本当は分かってる。
それがレツのお父さんの言い訳じゃなくて、もしかしたらありうる事実だって事。
レツの行動一つで何もかもが動かされるって事も………
レツの家の会社だけじゃない。もしかしたら私達の未来だって変わってしまう事も。
だから何も言えなかった。
私達は真実を突かれた、ただの子供だから。