屋上にて
屋上にて
経理部二課の安田浩司は屋上へと向かっていた。
目的はひとつだ。

最上階の28階までエレベーターで昇り、
そこから階段で屋上まで上がる。

新人の時はよくここで息抜きをしていた。
人がいないので一人になれるのだ。

昼休みに会社の女の子たちとバレーボールをした事もあった。
昔からあまり運動しない方だったので
Yシャツまで汗びっしょりになった。

しかし今日は息抜きをしにきたのでも、バレーボールをしにきたのでもない。

死ぬために来たのだ。

最初は軽い気持ちだった。
特に暮らしが貧しかったわけでもない。
毎日パソコンをいじるだけの仕事で
変化が欲しかったのかもしれない。
ほんの少し、データを変えるだけで
架空の口座に金が振り込まれ、会社の金は自分のものとなった。

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