恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
砂浜を縁取るように大きな木が建ち並び、周りは濃い緑色の植物たちが生い茂っていた。


満開のハイビスカス。


砂浜のずっと向こう先にぽつねんと灯台があって、見守るように海を見下ろしている。


まばゆさに、目を細める。


東京の海はこんなふうに眩しくなかった気がする。


いつも寂しげな色をしていて、悲しそうで、透き通っていなかった。


砂浜も切なそうな淡い灰色だった。


原色の植物たちに囲まれる島の海が一層明るく見えた。


お父さんとお母さんがとてもいい島だと言っていた意味がようやく分かった気がする。


言葉で言い表すことなんてできない。


絶句してしまうほど、与那星島の海は輝いている。


でも、不思議だった。


こんなにも美しい海だっていうのに、人の姿がない。


島の人たちは海に来ないのかな。


もったいないな。


あたしはプライベートビーチを満喫する観光客気分で、ひとり、白浜を歩き続けた。


足元に打ち付ける波は限りなく透明無垢で、海中がはっきり見える。


不思議。


どうして浅瀬はこんなにも透明なのに、遠瀬の方は真っ青なんだろう。


しばらく歩き続けたあと、いちばん大きな木の木陰に腰を下ろした。


大の字になって寝転がる。


なんて気持ちいいんだろう。


ずっとこうしていたい。


目の前に広がる海の大パノラマを見た後、静かに目を閉じた。

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