幻想館-赤ずきん編-
テーブルの椅子に座っていたはずの母の姿が見えない。



何が起きたの?



シーンと静まり返った部屋。



「ううっ・・・」


かすかなうめき声。


後ろを振り返る。



そこには・・・!



「お父さん!!」



そこには父親がいた
足下には、血塗れの包丁が落ちている。




いつの間に?




テーブルの下で、
苦しそうな表情をしていた母親・・・。



私はその姿を見下ろした。



「お前は、もうお母さんから解放されるんだ」



「解放・・・?」




・・・もう、お母さんに叱られなくて済むのね。


お母さんのご機嫌をとらなくても、
い、い・・・・・・んだ・・・・・ね。




その時、体中に別の何かが入り込んだ気がした。



そしてそのワードは全ての鎖を断ち切った。



私は笑みがこぼれた

と同時に涙もこぼれた。



少女は父親に近づいた。



そして、


血塗れの包丁は、少女の手に・・・


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