泣き顔にサヨナラのキス
     

「何もないよね?」


そう言いながらも、孝太の表情は曇っていく。


どうせなら、怒りに任せて怒鳴り付けて欲しい。



「ごめんなさい」


感情を押し殺して、それでも笑みを作ろうとする孝太に、あたしはその言葉を口にするのが精一杯だった。



< 248 / 614 >

この作品をシェア

pagetop