泣き顔にサヨナラのキス


『肩肘張って仕事している』


いつか、孝太に言われた言葉。 無理をしていないわけじゃない。


確かに、営業は向いていないのかもしれないけど。


「まあ、呑め」


「……遠慮なく」


「いや、遠慮はしてくれ」


原口係長はクスッと笑って焼酎をおかわりした。


もちろん、あたしの分も注文してくれて。


少しだけ口数が少なくなったあたし達は、この焼酎を最後に店を出た。





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