泣き顔にサヨナラのキス


 
「だってお前、フラフラして一人で歩けないわ、タクシーに乗ったらすぐ寝るわで。どれだけ、俺が困ったと思ってるんだよ?」


笑いながら咎める原口係長に、あたしが返す言葉は謝罪だけ。


「す、すみません」


「小林、悪かったな、急に呼び出したりして」


「いいえ、俺は別に」



へっ、呼び出した?



孝太を?



えーっ!



覚えてない……



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