群青の月
そのうち言い合う事に疲れたのか、柚葉はまた黙り込んでタバコに手を伸ばした。


そんな彼女を横目に勝負に勝った時のような喜びを感じて、思わず口元を緩めてしまう。


国道に出るのと同時にアクセルを踏み込んだのは、一刻も早く次の目的地に辿り着きたかったから…。


「もうすぐ着くから」


「どこにだよ」


口調がきつくなった柚葉は、明らかにさっきよりも苛立っているのがわかる。


俺は、彼女の横顔を一瞥(イチベツ)してから住宅街に入り、すぐに見えて来たマンションの地下にある駐車場に車を停めた。


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