群青の月
「あたしをここに連れて来たんだから、それなりの理由があるんでしょ?早く帰りたいんだから、さっさと済ませてよ」


ぶっきらぼうに話すあたしを見ていた冬夜が、意味深にニッコリと笑って見せる。


「まぁ、そんなに焦るなって」


「あのねぇ……」


楽観的な口調の冬夜に、ため息混じりの言葉が漏れたけど…


彼はそんなあたしの態度なんか気にも留めずに、また意味深な笑みを見せた。


それから、冬夜は持って帰って来た紙袋から中身を取り出した。


目の前に出されたのは、ホールケーキ用の正方形の箱だった。


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