群青の月
「だったら、俺はそいつよりも金を出すよ」


俺の言葉が気に障ったらしく、柚葉は明らかに苛立ちを見せた。


「……本当、金持ちの考える事は理解不能」


嫌味のこもった彼女の言葉に、眉をしかめる。


そう言われても仕方ない。


だけど、今は誰かと一緒にいたいんだ。


金持ちって訳では無いけど、エリート街道まっしぐらだった俺には、会社でのあんな出来事を話せる相手なんていないし、何よりも周りには知られたくない。


そんな時、ちょうど出会った女が金で解決出来る人間なんだから、悪く言えば利用しない手は無いと思ったんだ…。


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