群青の月
いつものように笑っている冬夜に何も言わずに、あたしはいつもと同じように彼の家を後にした。


もうここには来ない事は、今度電話で伝えればいい。


その後、冬夜がどうするのかとか、彼がどうなるのかとか…。


あたしには、全く関係が無い。


心に芽生えた憂鬱は、またあの行為をしなければいけないから感じているだけで、それだって数日経てばきっと消える。


ため息混じりに空を見上げた直後、朝の街を照らす太陽に顔をしかめた。


嫌味なくらいに青く澄んだ空が憎らしく思えて、同時に言葉に出来ない苛立ちを抱いた――…。


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