群青の月
「なぁ、柚葉」


背中を向けたまま黙っていると、冬夜があたしの髪にそっと触れた。


彼は体が触れるか触れないかくらいの、ギリギリの距離を保っている。


「本当に、安眠妨害……?」


その質問に戸惑いが含まれていた気がするのは、きっと自分自身がそんな気持ちを抱いているからだと思う。


あたしはいつもみたいに強く肯定する事も、もちろん他に返す言葉を見付ける事も出来なかった。


「柚葉が本気で嫌ならしない。でも……」


冬夜は意を決したように、またあたしの体を抱き竦めた。


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