群青の月
柚葉から離れた瞬間、腕の中に閉じ込めていた温もりが一瞬で消えた。


それが何だかすごく切なく思えて、心に大きな寂しさを抱く。


本気で拒絶されてしまう事が恐くて、恐る恐る柚葉の様子を窺っていた。


すると、戸惑うように目を見開いた柚葉の表情の奥に、どこか寂しげな感情が隠れているように見えて…


彼女が背中を向けてしばらくしてから、俺は不安を押し退けて目の前の体に腕を伸ばした。


そして、つい咄嗟に零した言葉は命令系だった。


それなのに僅かに不安が残ったままだった心が、俺の腕の力を弱めた。


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