群青の月
不意に柚葉が少しだけ動いて、その瞬間に甘い香りが鼻先を掠めた。


目の前にある肩は華奢(キャシャ)で、その体を抱き締める俺が腕に有(ア)りっ丈(タケ)の力を込めれば壊れてしまいそうな程に細い。


「……っ!」


思わず息を飲んだのは、衝動的に柚葉の体を壊してしまいそうになったから…。


今度はゆっくりと息を吐いて、自分自身を落ち着かせようとする。


不謹慎にもジワジワと込み上げて来る情欲を、何とかして押し込めようと努めて…


そっと深呼吸を繰り返しながら、腕の力を少しずつ緩めていった。


< 270 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop