群青の月
すかさず俺が後を追う事を、柚葉はきっとわかっている。


だけど…


いつだってぶっきらぼうな態度ばかりの柚葉が、自(ミズカ)ら俺を頼ったりする事は絶対に無い。


「こら、柚葉。置いて行くなよ」


「……一緒に行く意味がわかんないし」


「車出してやる、って言ってるんだけど」


「別にいらないんだけど」


可愛げの無い返答にも笑みが零れるのは、玄関のドアを開けた柚葉の手には傘が無いから…。


何だかんだと言いながらも、俺にほんの少しずつ心を許していってくれている気がした。


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