群青の月
コンビニに着く頃には小雨になっていて、悪戯な梅雨空(ツユゾラ)に何だか振り回されている気がした。


「そういえば、何が欲しいんだ?」


「……アイス」


「じゃあ、好きなやつ選べ」


「言われなくてもそうするよ」


大きな冷凍室を見つめていた柚葉が、程なくしてその扉を開けた。


手当たり次第にアイスをポンポンとカゴに入れていく彼女に、思わず喉の奥でクッと笑ってしまう。


「あのさ、いくら何でもそんなに食えないだろ」


不服そうな顔で俺を見上げた柚葉に、苦笑いを浮かべた。


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