群青の月
追い掛けて話をしなかったのは、バイトに行く柚葉の邪魔をする訳にはいかなかったから…。


頭の中で並べた理由がただの言い訳でしか無い事は、俺自身が一番よくわかっている。


だけど…


柚葉とどう接すればいいのか、俺にはわからなかった。


だから、柚葉と話をする事も、彼女を引き止める事も…


そして、俺達の間にある距離を近付ける事も出来ない。


そんな自分が情けなくて、ため息をつきながら視線を落とす。


自嘲の笑みを零しながら視界に入ったフローリングの平行線の模様が、まるで今の俺達みたいだ、なんて思ってしまった――…。


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