群青の月
いつもの体温が手の中に無い事が、酷く寂しさを感じさせて…


同時に芽生えた虚無感が、どうしようもない程に孤独を抱かせる。


一人になる事を恐いと思ってしまうのは、柚葉と一緒にいる時間があまりにも長いせいだって事はわかっている。


彼女は、相変わらず俺と馴れ合うつもりなんて無いだろうけど、俺は一緒にいる事に慣れてしまっていた。


“慣れてしまう”と言うのは、ごく自然と芽生える無意識なものだからこそ厄介だ。


だって、自分ではコントロール出来ない感情が、勝手に“そうしたくなくてもそうしてしまう”のだから…。


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