群青の月
狭い部屋を、今程恨んだ事は無い。


目の前の男を避ける事さえ出来れば、その向こうには玄関のドアがある。


それなのに…


狭い部屋では逃げる事は疎(オロ)か、男を避けるスペースすら無い。


「大人しくお利口にしてたら、ちゃんと優しくしてやるよ?」


舌舐めずりをしそうな勢いで嫌らしく笑った男に、背筋がゾクリとした。


「やっ……!」


あたしに向かって伸びて来た腕をバッグで払い退け、咄嗟に傍にあった物を手当たり次第に投げた。


「うわっ……!おいっ、止めろっ!!」


その後はもう、無我夢中だった――…。


< 391 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop