群青の月
路地裏でも、この時間帯はそれなりに人通りがある。


道行く人達の視線を時折感じて、俺は自分の体で柚葉を隠すように立っていた。


「とにかく話は後だ……。立てるか?」


彼女は力無く頷いて、平静を装うように立ち上がろうとした。


その時、何気なく柚葉の足元に視線を遣って、彼女が何も履いていない事に気付く。


きっと、靴を履く時間すら惜しまなければいけない程の事が、柚葉の身に起こったんだろう…。


勝手にそう解釈をし、眉をしかめながら唇を噛み締めた。


「……やっぱり、お前はじっとしてろ」


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