群青の月

◆Side‥冬夜


【Side‥冬夜】



腕の中にいる柚葉の小さな寝息を確認して、思わず笑みが零れる。


彼女があの日から初めて言葉を発したのは、つい2時間くらい前の事…。


俺は理由を聞いて安心し、柚葉自身も気が緩んだのか、あの後すぐに眠ってしまった。


彼女がまた話すようになってくれた事は、すごく嬉しい。


正直、あの日からの第一声がいきなり質問だったって事に、ほんの少しだけ微妙な気持ちになったのは否(イナ)めない。


だけど、それでも柚葉の声が聞けた事に安堵した。


久しぶりに話したせいか、その声は掠れていたけど――…。


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