群青の月
腕の力を緩めると、柚葉は大きなため息を落とした。


「だから、何度も言ってたじゃん……」


「ん?」


首を傾げた俺を、柚葉が瞳を細めて睨んで来る。


「安眠妨害」


「その言葉、久しぶりに聞いたな」


口元を緩めてフッと笑った俺に、柚葉はやっぱり不機嫌な顔をしている。


だけど…


「……笑い事じゃないんだけど」


その口調はいつものぶっきらぼうな感じよりも、どこか少しだけ穏やかに聞こえた。


だから、俺はほとんど無意識のうちに、喉の奥でクッと笑ってしまっていた。


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