群青の月
それからずっと、あたしは微動だにせずに過ごしていて…


ジワジワと汗が滲み始めた事にも気付かずに、蹲るように顔を伏せていた。


閉め切った部屋の中、どこからか聞こえて来る蝉の鳴き声。


こんな高層マンションなのに一体どこから聞こえて来るのか、なんて考えていたのも束の間の事で…


纏わり付くようなその音に、耳を塞いだ。


蝉の鳴き声は、嫌い。


悪夢の中に突き落とされるようで、呼吸すら上手く出来なくなるから…。


耳を塞いでいてもつんざくような鳴き声に、あたしの方が大声で泣きたくなった――…。


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