群青の月
ソファーに座る柚葉を横目に、チェストの上に置いていた財布から三万円を抜き出す。


すると、彼女は俺の行動を見透かすようにため息をついた。


「いらないから」


キッパリと断られた事で行き場を失くしたそれを、つい強く握ってしまう。


「……でも、約束だろ?俺達は契約してるんだから」


平静を装いながら返す俺の心に、不安が過ぎる。


だって…


俺達を繋ぐ物は、やっぱり今も金だけしか無いから…。


柚葉がこれを受け取らない事は、契約破棄を予感させる。


そんな俺を余所に、彼女が眉を寄せた。


< 461 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop