群青の月
ホテル街の路地裏は、あたしの“第二の仕事場”。


ここに立って意味深な視線を行き交う男達に送っていれば、そのうちお金が舞い込んで来る。


あたしは暗い路地の壁に寄り掛かって、咥(クワ)えたタバコに火を点けた。


「いくら?」


その直後、目の前に立った男があたしの全身を舐め回すように見て、冷たい声音で言葉を紡いだ。


見た目30代くらいの男は、澄ました表情で返事を待っている。


「……三万」


ため息混じりに愛想無く答えて、ゆっくりと煙を吐き出す。


「ちゃんと避妊してよ」


それから、いつもの台詞を吐いた――…。


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