群青の月
「もう少ししたら、ここを出て行くから……」


「え?柚葉……?」


「まぁ今までだって、あたしが何となくここに居座ってただけだし……。改めてこういう言い方をするのは、変なのかもしれないけど……」


驚く俺の言葉なんて聞こうともせずに、柚葉は一人で話を進めていく。


「自分の事を話せたお陰で、ちょっとスッキリしたよ」


珍しく饒舌な彼女の声には、涙が混じっている。


「それに、今ならちゃんと外に出られそうな気がするし」


俺はため息をついた後、気丈に振る舞う柚葉に呆れながらも口を開いた。


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