群青の月
柚葉の頬を次から次へと伝う涙が、俺の手を濡らしていく。


その温もりを感じた俺は、柚葉の体温ごと抱き締めたくなって、彼女の体をゆっくりと抱き寄せた。


「もう、『出て行く』なんて言うなよ?これからの事は二人でゆっくり考えよう」


優しく諭すように言うと、柚葉は無言のままもう一度頷いた。


さっきまでの口調も、震えながら泣く姿も、まだ幼い少女のようで…


綺麗な顔立ちの柚葉から放たれるいつもの色気は、今はどこにも無かった。


だけど…


俺は、そんな柚葉の事が愛おしくて堪らなかったんだ…。


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