群青の月
この話をしたら冬夜はすごく喜んでくれると思っていたから、ほんの少しだけショックだった。


よく考えたら、一人で外出するのなんて当たり前の事だし、こんな事くらいでそんなに喜んで貰えるはずが無い。


それなのに…


あたしの頭には、何故か自然と冬夜の喜ぶ顔が浮かんでいたんだ…。


こんな風に勝手に落ち込んでいる事を、曖昧な反応をした彼に知られたくなくて…


必死に嬉しい振りをして、すぐに笑顔を繕った。


そして、ネクタイを外してスーツを脱ぐ冬夜を見ながら、合鍵を差し出した。


「これ、勝手に借りた」


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