群青の月
柚葉が嫌々選んだお笑い系のDVDを借りて、レンタルショップを後にしようとした時…


「あれ?お前……もしかして崎本?」


すれ違い様に名前を呼ばれ、背中を向けていた店内を振り返った。


その瞬間、視界に入って来た見覚えのある顔に体が強張って、心臓がドクンと跳ね上がった。


そして少し遅れた今、隣を歩いていた柚葉も振り返った。


「冬夜……?知り合い?」


「やっぱり崎本じゃん!久しぶりだな〜!」


柚葉の言葉を遮るように軽々しく言った声の主が、どこか蔑むように意味深な笑みを浮かべた。


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