群青の月

◇Side‥柚葉


【Side‥柚葉】



降り続ける雨の音が響く。


どこまでも広がる濁った空のせいで、部屋の中はどんよりと薄暗かった。


「じゃあ、行って来るね」


「やっぱり送ろうか?雨、強くなって来たし……」


「ううん。今日は近いから平気」


「そっか」


返って来る言葉にはどこか抑揚が無くて、薄暗い廊下の空気が益々冷たく感じてしまう。


「じゃあ、気をつけて行けよ」


「冬夜も気をつけてね。後、これ返しとくから」


「悪いな」


眉を下げた冬夜に笑顔を返して、ゆっくりとドアを開けた。


< 756 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop